番茶とほうじ茶って違うの?様々な顔をもつ番茶とは?【すすむスクール】12時間目
こんにちは!日本茶・鹿児島茶・知覧茶・霧島茶等の美味しいものだけを販売している日本茶専門店「すすむ屋茶店」です!宣伝ぽくてすみません。(笑)。
そして、私たちの学校「すすむスクール」をご覧いただきありがとうございます!
近頃、本当に寒い!!!寒い!
冬なので仕方がないことですが、こんな時には熱々のお茶をのみたいですよね?
そんな時に活躍するのが番茶やほうじ茶等の日常茶です。なんせ熱湯で淹れても美味しく抽出されますからね。
そこで、今日のすすむスクールは「番茶とほうじ茶って違うの?様々な顔をもつ番茶とは?一緒に学びましょう!」にしたいと思います!質問としても多く寄せられますので。
これね、本当に難しいんですよ。答えを言うと「違うけど違わない。」となります。
全然意味がわかんないですよね!(笑)。でも大丈夫です!すすむスクールで一緒に学んでいきましょう!
番茶とは?
まず初めに、番茶とは何なのか。簡単に説明いたしますね。
「番茶」という言葉には、いくつかの意味があり、「番茶」という言葉が指すものは、ひとつではありません。がそれだと分かりづらいので、まず、私達がいる鹿児島県、鹿児島的「番茶」をご説明いたしますね。
お茶の木を見ますと、一番上に出ている葉が、一番若くて一番小さく、薄くて柔らかくて、色も黄緑色で綺麗です。これは「新芽」と呼ばれます。
いっぽう、根元の方の葉は、成長して大きくなっており、肉厚でしっかりとして、色は深く濃い感じになっています。これを摘採し、もみこみお茶にするのですが鹿児島県では一般的にこのお茶のことを「番茶」と呼んでいます。新芽が摘採された後の根元に近い部分、少し成長して硬くなった葉のことを指すことが多いんです。※所説あります。
この、「少し成長して硬くなった葉=大きめの葉っぱ」を摘採し、揉みこむことによって番茶が出来上がっていくのですが、すこし大きめの葉っぱというところがポイントです。
ほうじ茶とは?
ほうじ茶とは、お茶をキツネ色になるまで焙煎したもの。なのですが、分かりやすく言うと鉄板・フライパンで焼いて焦げたお茶なんですね。
この「焼く」というところがポイントで、大きめの葉っぱである「番茶」は焼きやすいんです。
焼きやすい。からこそ番茶を使うことが多い「ほうじ茶」。
番茶とほうじ茶は違うけど違わない。というのは、ほうじ茶にするお茶は番茶を使用することが多いからなんですね。
因みにお茶をフライパンで痛めたものがほうじ茶です。「え?じゃあ自分で作れるの?」そうです!作れます!お家に緑茶があったら、フライパンで炒めれば、ほうじ茶になっちゃいます!!
炒めてる内に焦げちゃうので、茶色になるんです!ほうじ茶の、あのいい香り……。あれも、実は、焦げちゃった香りなんです!いや~、不思議ですよね。
……さて、話を戻しまして。
「番茶ってほうじ茶と違うの?」ということに関しては、おわかりいただけたかと思います!
違うけど違わないというのは、こういうことだったんです!
①「番茶」は新芽の根元をつかった大柄なお茶
②緑茶でも炒めたら「ほうじ茶」
③番茶でも炒めたら「ほうじ茶」
④ほうじ茶は「番茶」を炒める方が多い。お茶の葉が大きく焼きやすいから。
ちなみに過去の「すすむスクールの記事」でもほうじ茶について取り上げていますのでこちらもご覧ください。
番茶の「番」ってなに?
こちらも、よくいただく質問なのですが、説明が難しい……。というのも、諸説あるからなんです。
「番」って、「1番」「2番」とかで使う字ですよね。実はこの考え方、お茶の世界ではとっても重要です。
お茶の木って、冬眠するんです。いや、ほんとに。(笑)クマみたいに、冬眠する前に栄養をた~んとたくわえて、寒い冬をじっと耐えしのぐんです。その間、お茶の木は成長しません。新しく芽を出したりとか、背を伸ばしたりとかしません。その代わり、寒いながらもお日様を浴びたりとか、土から少しずつ栄養を吸収したりとか、見えないところで必死にがんばってます。そうやって、年越しします。
そして春になると冬眠から覚めます!ついに新しい芽を出します!これを「新茶」と言うんですが、たくわえた栄養がギュッと濃縮されていて、一年で一番最初のものが、一年で一番美味しいお茶になるんです!新茶は、年が明けて1番最初につんだお茶なので「一番茶」とも言います。
さあ、ここで出てきましたよ。「番」が。
一年で一番目につむので「一番茶」。じゃあ、二番目は?……そう、二番茶です。次は三番茶、四番茶、となります。皆「番」がついておりますが、これを番茶とは呼んでいません。
番茶の「番」には、日常のという意味がある?
所説ありますのでご紹介いたします。
京都では、お惣菜のことを「御番菜(おばんざい)」と言うんですが、これには「普段のおかず」という意味があります。「番傘(ばんがさ)」というのもあって、こちらも「普段使いのカサ」といった意味です。つまり「番」には「普段の」「普段使いの」といった意味があるんです。そこから、「普段飲むお茶」ということで「番茶」と言うようになった説ですね。
※因みにすすむ屋茶店でもこの説で、普段使いの日常茶を「番茶」と呼んでいます。
ほかにも、遅くつんだお茶、という意味で「晩茶」、それがいつしか「番茶」になった説もあります。
さらにややこしいんですが、今言ったように「新茶じゃない」「普段使いじゃない」ということから、
番茶=下級煎茶という意味で使われることもあるなど、番茶ってヤツは本当にたくさんの顔を持っていますね。(笑)
日本全国 番茶の旅
日本各地には、本当にたくさんの「ご当地番茶」があります。地域によって名前もさまざまですが、その土地の人は親しみを込めて「番茶」と呼ぶんですよね。なんかいいですよね。さあ、日本全国の番茶、ご紹介しましょう!
・バタバタ茶(富山県)
・黒茶(富山県)
・加賀棒茶(石川県)
・赤ちゃん番茶(滋賀県)
・足助寒茶(愛知県)
・京番茶(京都府)
・日干番茶(奈良県)
・美作番茶(岡山県)
・ボテボテ茶(島根県)
・伯太番茶(島根県)
・阿波晩茶(徳島県)
・石槌黒茶(愛媛県)
・土佐番茶(高知県)
・碁石茶(高知県)
・ブクブク茶(沖縄県)
ええ~っ!こんなにあるんですか?私も驚きました!(笑)これみ~んな、「番茶」なんですね!
こんなにたくさんの顔を使い分けているとは。番茶、恐るべし。(笑)
中には、聞いたことのある番茶もあったのではないでしょうか?
京都の「京番茶」なんかは、有名ですね。番茶らしく大きな葉をつんだら、蒸し、もまずに乾燥させることで、一般的によく見る緑茶とは違って、細長くならず、葉の形がすっかり残ります。さらにこれをじっくりと炒ってほうじ茶にします。煙の香りが茶葉にもついたら、京番茶です。
岡山の「美作番茶」は、ちょっと変わっていて、蒸すのではなく、つんだ葉を煮ます。グツグツ煮てから広げて、しかも煮汁をかけながら、「追い煮汁」しながら、天日干しします。
徳島の「阿波晩茶」って、「番」じゃないんですよね。これは遅くつんだ葉を使うからです。阿波晩茶は、つんだ茶葉をゆでて、揉んで、漬けます。え?漬物?そうなんですよ、本当に漬物みたいに、乳酸菌発酵するんです。そのあと乾燥させて、お茶として飲みます。
いやあ~、本当に日本ってお茶の国。いろんなお茶がありますね!
すすむ屋茶店の番茶
みなさまご存知かもしれませんが、すすむ屋でお取り扱いしている番茶は、一番茶です!
じゃあ、番茶ではない?と思ったかもしれませんが、日常的に飲めるお茶という意味で解釈してますので番茶なんですね。
順にご紹介いたします。
「あたま」
新芽の先端に近い部分の中で大きな茶葉です。味は煎茶とほぼ同じでさっぱりした味わいに。煎茶よりも安価で流通していることが大為、お得に楽しめるお茶なんです!
「めばん」
「あたま」よりも根元、新芽の根元の部分。一度煎茶を摘採した後に摘まれた新芽で独特の花のような香りが楽しめます!すすむ屋茶店的ジャパニィズ東方美人。本当に?緑茶なのに?と思ったら、ぜひ試してみてくださいね!
「くき茶」
そうです。茎です。茎茶はときどきありますよね。茎茶大好きすぎて、茎茶こそ最高級品とされる地域もあるんですよ。世界的には、茎をお茶にして飲む国はあまりないですね。日本人のなんでもムダにしない精神、すばらしいです!茎茶も緑茶ですが、茶葉(というか、茶茎?笑)を見ると、白っぽいです。「白折(しらおれ)」とか「雁金(かりがね)」とも呼ばれたりします。すっきりとした上品なお茶です。
いかがだったでしょうか?話が少し膨らみすぎましたが、
①「番茶」は新芽の根元をつかった大柄なお茶
②緑茶でも炒めたら「ほうじ茶」
③番茶でも炒めたら「ほうじ茶」
④ほうじ茶は「番茶」を炒める方が多い。お茶の葉が大きく焼きやすいから。
これだけをご理解いただけたら十分ではないでしょうか。
しかし、番茶って、本当に様々な顔がありましたね。それも、日本全国、各地で愛されているから、ということを知ってもらえたら、嬉しいです!
また次回のすすむスクールでお会いしましょう!
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