深蒸し茶とは?深く蒸すお茶?特徴や歴史を学びましょう!【すすむスクール】13時間目
いつも、鹿児島茶・知覧茶の専門店すすむ屋茶店をご愛顧いただきありがとうございます!!
本日もやってまいりました。皆様お待ちかね「すすむスクール」のお時間です!「今さら聞けない日本茶のことをこっそりここで学びましょう。」をモットーに、お茶初心者の方々へ、分かりやすく簡単に!お届けしていきます。
今日のテーマは「深蒸し茶(ふかむしちゃ)」ですが、最近よく聞く!という方も多いのではないでしょうか。一時期にはTVで紹介されて、品切れ続出になった時期もありました。いまだに人気の高いお茶です!
さて、この深蒸し茶ですが…「深く蒸すお茶」なんでしょうか?「深く蒸す」って、一体どういうことなんでしょうか?全く???になっても大丈夫。分からなくても大丈夫!すすむスクールですから!では、さっそく深蒸し茶について学んでいきましょう!
深蒸し茶とは?
結論から申し上げます。深蒸し茶とはその名の通り!「深く蒸したお茶」です!でも「蒸す」ってなんでしょう?「深い」ってどういうこと?これを知るには、「お茶」そのものの作り方を知っている必要があります!
日本茶(煎茶)は蒸してつくります。お茶の作り方を解説。
「お茶」というのは、ここでは「緑茶」「煎茶」を指しています。とりあえず今は、皆さんがお持ちのイメージの、「あ~、緑色のやつ…」くらいで結構です!
日本では、ほとんど全国各地で緑茶が作られていますが、お茶の元となるのは、茶の木です。茶の木の葉っぱですね。これをつんで、お茶にしていきます。
皆さんも聞いたことあるかもしれませんが、つんだお茶を放っておくと、発酵(酸化)してしまいます。赤くなり、最終的にウーロン茶や紅茶になっちゃうんです。
でも、日本で人気のお茶はやっぱり緑色の緑茶、煎茶なので、発酵しないように、発酵を止めまるんですね。緑色を保ち、烏龍茶や紅茶にならないように。
その方法は?というと、加熱するんです。具体的に言うと、蒸します。蒸す熱で発酵を止めます。
もちろん、炒めても(釜炒り茶はこれ)、ゆでても、加熱できますが、それだとお茶の成分が変質しやすいんですね。炒めると焦げちゃうし、ゆでると、お茶の美味しさがゆで汁に逃げてしまいます。
そのため、日本では蒸す加熱で発酵を止めるのが、主流なんですね。
茶の葉をつんだら、その瞬間からすぐに発酵が始まりますので、できるだけ急いで蒸します。※国土の狭い日本だから得意
蒸す時間は30秒くらい。そう、たった30秒蒸したらOKです。これだけで、発酵を止めるには十分です。ついでに、青臭さがなくなる、というメリットもあります。
不思議なことに、たった30秒だけなんですが、草っぽさというか、クセが取れて、洗練された香りや、上品な甘味・うま味、鮮やかな緑色を引き出すことができるんですよ。これ考えた人ほんとすごいです。(笑)
ですが!一般的に、この2倍以上、つまり1分以上蒸すと茶の葉の形が崩れます。これが「深蒸し茶」です!
「深い」っていうのは、「蒸し時間が長い」という意味だったんですね。
※もっと長い時間蒸した「特蒸し茶」なんてものもあります。
蒸した後は、茶葉をもんで水分を絞り出し、形を整えながらさらにモミモミして、最後に熱風を当てて乾燥させます。たくさんもみこんでいく内に、細長い針状になって、皆さんがよく知る緑茶の形になっていきます。
乾燥させるのは、抽出したときの香り出しという効果もありますが、保存のためですね。美味しさを長持ちさせるための工夫です。お茶って、よくできてるでしょう?
これもね、紆余曲折あったと思います。つくるまでにたくさんの人が「美味しいお茶」のために人生をかけて、長い時間をかけて努力をしてきた、血と汗と涙の結晶なんです!お茶ってすごいんです!
深蒸し茶の特徴
深蒸し茶は、蒸し時間を2倍以上にしたお茶ですが、蒸し時間を2倍にすると、何が変わるのでしょうか?皆さんは、蒸し野菜を作ったことはありますか?野菜じゃなくて、肉まんでもいいんですけど、蒸す時間が長いと、水分をたくさん吸って、柔らかくなりますよね。蒸しすぎると、型崩れしちゃうこともあります。
それと全く同じで、深蒸し茶も、茶葉が柔らかくなって、形が崩れます。すると、出来上がりの、乾燥させた茶葉になったときに、ひとつひとつが細かくなるんです。
茶葉が細かいということは、お茶が濃く出やすいんです。よく見る緑茶、煎茶に比べると、深緑色だったり、鮮やかなエメラルド色だったりしますね。色だけじゃなく、お茶の成分もたくさん出ます。
皆さん、お茶を入れた時に、茶葉が粉みたいに細かくなったのが、湯飲みの底の方に沈むの、わかりますよね。深蒸し茶だとこれが多いです。これって、水に溶けない栄養成分(食物繊維、βカロテン、ビタミンE、銅、亜鉛、マンガンなど)も一緒に飲めちゃうので、体にもいいんですよ!
気になるお味の方ですが、濃く出るということで、味も濃くて渋いんじゃ?と思いますよね。ところが、渋味は少なく、濃厚なコクがあって、まろやかで大変飲みやすいお茶になるんです!これは、蒸し時間が長いため、渋味が飛んでしまったのです。ただ、香りも一緒に飛んでしまうので、香りは多少弱くなる傾向にあります。
蒸し時間がたった30秒長いだけで、こんなに違いが出てしまうんですね。お茶って奥が深いと思いませんか?ちなみに、蒸し時間が10~20秒の「浅蒸し茶」というのもあって、こちらは香りが飛びにくく、渋味も強め。キリッとして目が覚めます。
深蒸し茶の歴史
深蒸し茶が誕生したのは、静岡県の牧之原台地と言われています。この地域は江戸末期から開拓されて、明治初期から現在までお茶畑として、おなじみの地域です。この開拓もかなり大変だったそうで、平成に入るころまで「陸の孤島」と言われたといいますから、どれだけ荒れていたか想像できるのではないかと思います。あまりの重労働に耐えきれず、逃げ出す人もあったとか……。
やっとのことで開墾した土地に種をまいても、春先に寒波が来たり、干ばつが起こったりで、なかなか育たず、収穫までこぎつけるには、一体どれほどの苦労があったことでしょうか…。しかし!上がらない雨はないのです!何年も苦しんで苦しみぬいた末に、明治6年、とうとう初のお茶つみが叶いました!
ところが、まだ問題がありました。牧之原台地は「台地」です。周りの地形からポコンと飛び出て、高くなっています。そのため、よく日が当たります。お茶もぐんぐん大きくなるんで、これはたくさんお茶が取れるぞ、と期待したんですが、肝心の、味のほうが今一つでした。
実は、お茶にとっては、日が当たりすぎるのもダメなんです。
お茶の木は、日光を浴びると、カテキンを作る性質があります。カテキンは体に良いポフェノールなので、注目されている成分ですが、味が渋いんです。牧之原台地のお茶は、うんと日光を浴びるので、うんと渋くなってしまうんです。日本のお茶は、ほどよい渋味が美味しいですよね。渋すぎると、やはり飲みにくいのではないでしょうか。この渋いのをなんとかしたい、ということで、偶然生まれたのが深蒸し茶です!
蒸し時間が2倍になってしまって、「あっ、失敗した!」と思ったのですが、ためしに飲んでみたら「うまい!渋みがとれている!」となったわけですね。牧之原をはじめ、掛川など、静岡県内では深蒸し茶を生産しているところが多いです。
深蒸し茶の美味しい入れ方
深蒸し茶は茶葉が細かくて濃く出やすいので、短めの抽出時間(45~60秒くらい)にするのがおすすめです。お湯の温度は少し低めの80度くらいがいいでしょう。豊かな甘味、コクのあるうま味が楽しめます!
ぜひ試してみていただきたいのは、深蒸し茶を水出しで入れることです。お水でもきちんとお茶が出る上に、きれいな色になりますので、見た目が映えます。ぜひ透明なグラスで楽しんでいただきたいです!
すすむ屋茶店の深蒸し茶
ここで、すすむ屋茶店の煎茶について少しだけご紹介いたしますね。実はすすむ屋が扱う鹿児島のお茶。ほぼほぼ深蒸し茶なんです。というのも深蒸し茶って美味しい上に健康にいいし、いれ方も簡単でお茶が綺麗に出るんですね。
だからすすむ屋茶店の煎茶も深蒸し茶。人気のこくまろ。さえみどり。おくみどり。等もそうなんです。
気になった方は、是非覗いてみてくださいね。
今回は「深蒸し茶」の特徴や歴史。効果効能について学んでいただきましたが、いかがだったでしょうか?
深蒸し茶は、長く蒸しているため、茶葉が細かく、濃く出やすい。香りは控えめだけど、甘味・うま味が強く、まろやかで美味しい!ということを理解していただけましたか?深蒸し茶が生まれるには、牧之原の人々の計り知れない苦労があった、ということを知っていれば、さらに深蒸し茶が美味しく感じられるのではないでしょうか?
日本人のお茶にかける情熱って、本当に素晴らしいです。今に生きる私たちがこうして美味しくお茶を飲めているのも、先人たちのおかげ!ありがたいです!それでは、このへんで失礼しましょう。ありがとうございました!
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